
後期医療制度が連日マスコミで報道されています。しかしなぜ後期医療制度なのかという根本的な説明が殆んどなされていなくて、“お年寄りの大事な年金からお金を分捕る”というような感情的な報道が目にあまります。
今回の医療制度改革の背景は?
日本の今後の医療制度のあり方を考えるにあたり、日本人の寿命の伸びと少子化、そして人口構成という3つの要素を冷静に分析することが大前提です。日本人女性の平均寿命は現在85歳前後で世界1位ですが、あと20年もすると90歳前後になると予測されています。(男性も85歳に近づくといわれている。)現在1300万人いる75歳以上の高齢者の数もそのころには、倍の2600万人ほどになる可能性があります。その一方で少子化の影響で現役世代の人口割合は確実に減っていきます。1300万人の高齢者は日本の全人口の約1割ですが、国民全体の医療費約33兆円の3割を毎年使っています。今後の少子高齢化社会では、さらに高齢者の人口が増えるので、現役世代への財政的圧力が強くなります。この圧力が強すぎると、医療保険制度全体が崩壊する可能性がある、こういう危機感を背景に今回の新医療制度は導入されました。
さらに、高齢者の割合が多い市町村と現役世代がある程度いる市町村の間では、保険料と受けられる医療の格差が拡大してきていました。(高齢者ばかりが多い前者の自治体ほど、保険料が高い。)今回の長寿医療制度の導入によって、市町村単位から都道府県単位での医療保険制度に切り替わったため、市町村間の格差が少なくとも同じ県の中では縮小し、同じ年齢で同じ所得であれば、県内どこの市町村に住んでもさほど保険料に差がないということが初めて実現したわけです。1300万人のうちいままで保険料支払いを免除になってきた200万人の方々にとっては、負担増になりますが、それでも所得の低い方々への配慮はされています。(所得に応じ、7割引、5割引、2割引の制度設計。)
北国新聞の社説には、「高齢者の負担は、できるだけ少ない方が良いに決まっているが、負担を減らそうとすれば、そのシワ寄せは現役世代にいくのである。」とも主張しています。現在、年金も医療も現役世代4人で1人の高齢者を支える仕組みになっていますが、あと20年でこれが現役世代2人で1人の高齢者を支えなければならない人口構成になります。もし現在必要な改革をしなければ、20年後の現役世代は、(社会保障の財源となる)税金も保険料も今のほぼ倍を支払わなければならないことになりますが、そうなると戦後日本が誇ってきた国民皆年金や国民皆保険という制度自体を維持することが困難になることが予測されます。
私どもは、できる限り負担を少なくする、税金の無駄遣いをなくす、といった努力に今後も全力で取り組まなければなりません。それを前提に、しかし、大切な日本の社会保障制度の維持と未来の世代の生活のことも、考えねばなりません。国民の皆様の行政の不備についてのご批判に真摯に声を傾けながらも、冷静に未来をみつめながら必要な改革も進めなければならないのです。
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