
またまた、おかしな議論が国政の場で行われました。それも良識の府と言われる参議院でである。石井一議員(民主)が本日の参議院予算委員会で「宗教団体創価学会が支援する公明党が政権与党に入っているのは、政教分離を謳った憲法違反の疑いがある。創価学会関係者と党を除名された福永元参議院議員を国会で証人喚問を!」と言い出したのである。
そもそも1970年(昭和四十五年)四月二十四日付で出された国会議員の質問主意書に対する政府答弁書に明確に政教分離の原則が確認されているのは周知の事実である。
その答弁書は、民社党(当時)の春日一幸衆院議員が「宗教団体が、現在の議会政治機構を利用して政権を獲得することは、憲法の政教分離の根本精神に反する」(趣旨)と問うたのに対し、「宗教団体に支持された者であっても、国政を担当(政権参加)することは憲法に抵触(ていしょく)するものではない」(趣旨)と明確に答えています。これはその後の政府の一貫した憲法解釈なのです。
1970年の政府答弁書の解釈がその後、確認されたのは、1994年10月12日、大出峻郎内閣法制局長官(当時)が「宗教団体が推薦、支持した候補者が公職に就任し国政を担当することになっても、その宗教団体と国政を担当する者とは法律的には別個の存在であり、直ちに憲法が定める政教分離原則にもとる事態が生じるものではない」と答弁しています。
更に、1999年7月15日の衆議院予算委員会での社民党の北沢清功氏の質問に対して野中広務官房長官は「宗教法人が支持する政党が政権に参加したからといって、憲法の違反にならない、と私は考えている」と答え、大森政輔内閣法制局長官は「宗教団体が支援している政党が政権に参加したということになりましても、そのことによって直ちに憲法が定める政教分離の原則にもとる事態が生ずるものではない」と答弁しています。
政府見解は、公明党の政権参加は「問題なし」と一貫しているのに、なぜ、こんな基本的な間違いを繰り返しているのか?
「政教分離上、問題がある」という意見を述べる人たちは、前提として憲法の政教分離原則についての誤認識や曲解(きょっかい)があるのです。つまり、一つは、政教分離の「政」は政治・政党であり、「教」は宗教団体であると読んで、政治(政党)と宗教は分離しなくてはいけないと曲解し、そこから、公明党は創価学会という宗教団体に支援されているから、政教分離原則に反するという見方です。政治家やマスコミの一部には、このような誤認識がまだあるようで、本当に恥ずかしい限りです。更に、こういう人々は、憲法の政教分離原則とは、宗教の政治へのかかわりを禁止していると解釈するもので、これも明白なる誤(あやま)りです。
そもそも憲法上の政教分離原則とはどういうことなのかを、改めて確認すると、憲法20条では第一項で「信教の自由は、何人(なんぴと)に対してもこれを保障する。」(前段)として、まず基本的人権である「信教の自由」の保障をうたっています。「信教の自由」とは、信ずる自由、信じない自由、宗派を選択する自由、信仰を表現する自由、宗教団体をつくって活動する自由等々が含まれます。この人間として最も大切な精神の自由を保障したのが、憲法20条のポイントです。
そして憲法は、この後に「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」(後段)と規定、第三項で「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と規定しています。これが「政教分離原則」を明確に定めた個所です。
ためにする議論とよくいわれますが、石井議員が「政教分離」について正しい認識をもたれるよう見守っていきたいと思います。政権交代を!と意気込むのも結構ですが、政権奪取への私利私欲のために、清浄な宗教団体を冒涜することは許されるものではありません。良識の府と言われる参議院の場で、しかもNHKのテレビ中継生放送中にこんな稚拙な議論を吹っかける、民主党の見識・常識を充分見させて戴きました。私どもは、デマ宣伝とは断固戦っていきます。
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